プリセット禁止戦略(マーキングの快・不快心理に基づく)

着色戦略として、プリセットとアドホックがあると説明しました。前者は読書を行う前にすでに設定するもので、後者は読書中に設定するものです。それぞれメリットがあります。相補的なものです(一方のメリットは逆のデメリット、and vice versa)。

プリセットのメリット

  • 設定の手間が省ける。設定は読書から集中を切らす原因となりうる(★0)。

プリセットのデメリット

  • 最初から文書に色付けされている(エントロピーが増大)。読者がその意図を了解していないと、逆効果になる。

読者が意図を了解のあたりが重要です。人によると思います。共感覚的なものが発達している人はプリセットが有効です。さらに読んでいる文書が定型文(契約書など)の際にも有効ですね。

一方で、共感覚が発達していない場合はアドホックが有効です。さらに文書によっては、定型的な単語が出てこない。

更に、ある文書では強調すべきフレーズでも他の文書だと強調すべきでない、という単語もあります。なので、先日挙げたデフォルトは白黒にしておいて、必要に応じて色を付けるが結構有効になってきます(デフォルトVanilla+プリセット禁止)。私は契約書、特許、有価証券報告書などの定型文書以外はすべてこの戦略で最近は読んでいます。以下、プリセット禁止の心理的作用についての説明です。

ここからは食事中の人は読み進めるのを中断してください。

同人誌(技術書)にも書きたかったのですが、少しネガティブなのでボツにしました。文書に色を付ける行為ってマーキングと呼ばれたりしますが、散歩中の犬の行為に近いものがあると見ています。つまり、犬って他の犬がマーキングしたものを上書きしたりします。何か他人にマーキングされるとイラッとするということですね。図書館の本にマーキングするのは論外ですが、マーカーが引かれている本に対して、なにか違和感を感じるのはこういう動物的な本能から来てる、のはあると思います。

本技術を誰かが最初に見た際には、私が色を付けたものをみているわけで、やはり少し違和感というか嫌悪感を覚えるというのはあると思います。紙の場合は動きがないので特にそうなりそうです(★1)

面白いことに、逆に自分でマーカーを引く行為って気持ちいいんですよね。多分、本にマーカーを引く心理ってこういう快・不快があるんだと思います。

話を戻しますと、プリセットをすると過去の自分のマーキングを見ることになります。いくら自分であってもいくらか不快感を覚えるというのはありそうです。なので、上のメリット・デメリットにはこういう動物的な快・不快も入ってきて、実はそれは大きいんじゃないかと最近思えてきました。

デフォルトVanilla戦略+プリセット禁止が今の私のお気に入りの戦略です。みなさんもご自身のお気に入りの戦略、見つけてみてください。

(★0)

この再設定のコストを減らすギミックも私のチューニングしたPDFリーダーでは搭載しています。つまり、一旦設定した後はその着色を消した後、再度クリックするとその色から再開できるというものです。これは文書間をまたがって行われます。アドバイスですが、着色する際には文書から目を離さず行うのがベストです。敢えて色を区別するためにいつもと違う着色、みたいのをしていなければ、ワンクリックでいつもの色が設定されます。アドホック着色のデメリットが相当軽減されます。

(★1)

やはりご自身でこのマーキング行為を楽しむ、というのが大事と思っています。GitHubの動画でうげっとなった人も、もし簡単に環境構築できそうなら一度体験してほしいです。手でマーカーを引くと大変ですが、ワンクリックで広範囲にマーキングできるのは、とても気持ちいいです。

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